中日教育研究学会10周年記念シンポジウム

プシンポジウムの様子


第1部 開会・全体講演(14:00~15:30)

 中国と日本の教育研究交流の架け橋として活躍してきた中日教育研究学会の設立十周年を機に、この間の両国の教育・研究交流の歴史と現状を振り返り、中日教育研究学会に期待する役割や今後の研究・交流活動等について展望しました。

この第1部は、学会の幹事である北海道大学特任講師の肖蘭氏に務めた。

基調講演者

①胡志平・在日中国大使館教育部公使参事官

②金龍哲教授・東京福祉大学(中日教育研究学会前会長)

 「エイジレス社会」は可能か?―『⼈⽣100年時代』における教育の制度設計

③呂暁彤教授・帝京科学大学(中日教育研究学会会長)

 「100年教育における中⽇教育研究学会の役割

第2部 ラウンドテーブル(15:45~17:15)

 6つに分かれて中国と日本の最新の教育動向についてディスカッションを行い、「人を育てる教育」の意義を探究した。

この第2部は、学会の幹事である神奈川県立保健福祉大学助教の李剣氏に務めた

ラウンドテーブル

ラウンドテーブル①  中国の子ども政策に関する新たな動向

 コーディネーター

盧中潔(浙江師範大学・講師)

発表者:

盧中潔(浙江師範大学就学前教育専攻・講師)

季瑞穎(お茶の水女子大学大学院・人間文化創成科学研究科)

劉 佳(お茶の水女子大学大学院・人間文化創成科学研究科)

概   要: 2021年5月、中国では夫婦1組につき3人まで認めると新たな産児政策が発表されました。育児支援を巡って、中国では普惠性幼児園(公営幼児園、普惠性民営幼児園)という政府の補助金を受ける園の増加が見られる一方、民間では在宅保母による育児の支援もなされている。本ラウンドテーブルでは、以上の政策の傾向を踏まえつつ、中国における子ども政策に関する新たな動向を探究した。

ラウンドテーブル②  環境教育における食育の重要性

 コーディネーター

肖 蘭(北海道大学・特任講師)

袁春紅(岩手大学・准教授、NPO法人国際食育交流促進協会理事長)

帰山雅秀(北海道大学・名誉教授)

発表者:

帰山雅秀(北海道大学・名誉教授)

田元勇(大連海洋大学・准教授)

梁 佳(浙江海洋大学・講師)

王宇清(九州大学・助教)

討論者:

王春暉;尾村卓琳;小笠原聖佳;日暮麻琴(NPO法人国際食育交流促進協会)

竹内範子(岩手県山田町公文教室師範)

概   要: 「食育」とは「生きる上での基本であって,知育・徳育・体育の基礎となるべきもの」(食育基本法)である。一方,人新世時代,人間の人口増加と活発な活動が地球温暖化と生物多様性の激減など地球生態系に著しい負荷を与えている。特に,食分野の温室効果ガス年間排出量は全体の1/4と,エネルギー供給分野と肩を並べ第1位を占める。健全な食生活と食生産は地球の健全化に著しく貢献する。本ラウンドテーブルでは,環境教育の一環として地球温暖化と食育のあり方について議論した。

ラウンドテーブル③  中国と日本の高等教育の動向と今後の展開の可能性

 コーディネーター

劉国彬(福山大学・准教授)

発表者:

大濱慶子(神戸学院大学・教授)

王報平(対外経済貿易大学・現福山大学孔子学院・専任講師)

郭春貴(広島修道大学・名誉教授)

日暮トモ子(日本大学・准教授)

 

概   要: 近年、日本も中国も、高等教育の大衆化が進んでいる。本ラウンドテーブルでは、高等教育評価、教養教育、初修外国語教育、留学生教育、ジェンダー領域で、中国と日本の高等教育の動向と今後の展開の可能性を検討した。

ラウンドテーブル④  生涯にわたる学びのあり方

 コーディネーター

楊映雪(東京大学大学院・教育学研究科)

発表者:

詹 瞻(荻原美術館教育部/東京大学大学院・教育学研究科)

劉夢思(東京大学大学院・教育学研究科)

倪琳林(東京大学大学院・教育学研究科) 

概   要:「人生100年時代」、「Society5.0」と呼ばれる未来社会の到来を見据え、変わり続ける社会に応じた教育の革新が求められる。その中に、生涯にわたって能動的に学び続ける力の育成が重視され、学習者の主体性にめぐる議論が日中両国の教育現場において活発に行われている。本ラウンドテーブルでは、前述した教育観の転換及び教育改革の動向を踏まえ、「主体的・深い学び」を実現する授業改善・学習支援の取り組み、美術館における鑑賞教育、そしてオンライン自習室における学びの創造など、多様な実践例を紹介しながら今後の時代に求められる「学び」のあり方について再考した。

ラウンドテーブル⑤  民族教育

 コーディネーター

蒙古貞夫(東京学芸大学・個人研究員)

発表者:

蒙古貞夫(東京学芸大学・個人研究員)

ゴスチンゴワ(東京都立大学大学院・人文科学研究科)

ボウトンリガ(国士舘大学大学院・政治学研究科) 

概   要:グローバル化が進む現代社会において、各民族の教育の多様性を保つことは、その国や民族のソフトパワーを表す最も重要な事業となってきた。本ラウンドテーブルでは、各民族の教育の歴史と現状を多角的に分析することを通して、その民族の教育の歴史を整理をしつつ教育の現状や動向を明らかにしながら、21世紀の現代社会に応じた新たな教育方法を探っていた。

ラウンドテーブル⑥  自閉スペクトラム症に対する看護師教育の展望―障がい者支援施設を例に―

 コーディネーター

李 剣(神奈川県立保健福祉大学・助教)

劉佳琦(社会福祉法人けやきの郷)

発表者:

李 剣(神奈川県立保健福祉大学・助教)

斎藤瑠華(金沢大学・助教)

劉佳琦(社会福祉法人けやきの郷)

概   要:自閉スペクトラム症は、コミュニケーションを苦手とし、限定された反複性行動様式を示す発達障がいのことを指す。本ラウンドテーブルは、小児期から成人期の自閉スペクトラム症の支援について議論した。特に成人期については、施設入所に着目し、入所生活、入所者のニーズ、医療者及び生活支援員の業務内容など支援上の課題を共有した。また、障がい者支援施設における看護師育成にも着目し、今後の看護教育のあり方について共に考えていた。

第3部 閉会(17:15~17:30)

 シンポジウムの最後は、本学会の副会長である創価大学教職大学院教授の長島明純氏による閉会の言葉を述べた。

計108名の方々が今回のシンポジウムに参加してくださいました。